第14章 長男の本気
レースが始まると俺もヒナちゃんも大騒ぎだ。
それでもヒナちゃんが他の男に触れられないよう神経だけは張っておく。
レースはヒナちゃんの選んだ馬が一等だった。
「すごい!当たっちゃった!」
単勝だから、そんな儲けもないんだけど、彼女は大喜び。
嬉しそうに俺の袖を掴む。
俺はその顔を見て、ハッと気づく。
説明したとき普段買わない三連単をついでに買ったのだ。
なんとなくヒナちゃんと同じ馬も選んでおこうと……
「うそん……当たってるわ」
「やったね!おそ松くん!」
「マジすっげー!
何これ!ヒナちゃん勝利の女神でしょ!?」
「わかんないけど、そんなにすごいの!?」
「すごいも、すごすぎ!軍資金ゲットだー!」
ぎゅっとヒナちゃんを抱きしめる。
あーこの時間、一生続けばいいのに。
夕方、競馬場をでて、軍資金で食事に行こうとしたけど、ヒナちゃんは俺が普段行ってるところがいいと言う。
俺たちはチビ太のハイブリッドおでん屋に向かった。
嬉しそうにおでんを頬張ってる。
「美味しいー!」
はーマジ可愛いなぁ……
俺、今日何回可愛いって思っただろ……
おそ松くんおかしくなりそ。
「まじよぉ、おめーが女の子連れてくるなんて天変地異もいいとこだぜ?」
俺のデレデレ顔を見ながら呆れたように言うおでん屋のチビ太。
「えー?何それ、ひどいなぁチビ太くん」
「気持ちわりぃしゃべり方すんじゃねー!」
俺とチビ太のやり取りにクスクスと笑うヒナ。
軍資金もあることだし、この後はやっぱお泊まり?ご休憩?いやいや、もう一軒行ってからの……
俺は自分と、この後の作戦会議を始めた。