第14章 長男の本気
<おそ松side>
次の日……
俺はヒナちゃんと別れた場所へ向かった。
昨日はちょーっと強引だったかな?
まぁいなかったら、いなかっただ。
そんなことを考えながらも場所に着くとちゃんと待ってるヒナちゃんが見える。
「あ、おそ松くん。おはよう♪」
ニコニコと手を振るヒナちゃん。
可愛い過ぎて悶絶しそう。
「あーあのさ、無理やり誘っといて、俺、どこ行くか決めてなかったわ」
実は金銭的にも余裕ない俺。
なんてったってニート。
「じゃあ、私、競馬場行きたい!」
「え?競馬?」
「うん、入ってみたかったの!」
俺が普段から競馬行ってんの知ってたのかな?
俺たちは二人で競馬場へ向かった。
馬券の種類や買い方をヒナちゃんに説明しながら、二人で馬券を購入する。
普段一人で来るところに女の子と二人でって、なんか新鮮だなぁ……
パドックに連れていこうとしたとき、人ごみが増えてきたので、俺は自分の手の平を服で拭いてヒナちゃんに差し出した。
「はぐれるといけないから」
なんか言い訳じみてるな、と思った。
少し恥ずかしそうに俺の手を握った……手を握っただけなのに、柔らかいヒナちゃんの手に俺はちょっと興奮してしまった。
「おそ松くん!馬!
すっごいカッコいい!」
パドックに着くと目をキラキラさせて馬を見つめるヒナちゃん。
はぁー……何この子、なんでこんな可愛いの?
ふと、他の弟達のことが頭によぎった。
ヒナちゃんのことを家であまり話さないのもわかった。
あいつらはもうゲートに並んでいるんだ。
長男様を差し置いてレースする気マンマンだったのね。
「馬って想像より大きいね……」
あ、やべ、またちょっと興奮しちゃった。