第14章 長男の本気
<ヒナside>
「……で?」
「で?じゃ、ないよー!
薬飲んでないのに元に戻ったんだよ!?」
次の日、六つ子の部屋で一松に相談する。
一松は私が人間に戻ると相変わらず部屋の隅。
私はソファーに座って会話をする。
この距離感なんとかならないかな?!
「……てか、今更でしょ。ずっと猫のままいられるわけじゃないし」
「そ、そうなんだけど……」
「朝からクソ松がテンション高かったのは、そのせいか……」
そう言って、一松は舌打ちをした。
「グッドモーニング!ブラザー達!
気持ちの良い朝だな!アーハン?」
朝、こんな感じにカラ松はすこぶる元気を取り戻していた。
頭にはたんこぶ出来てたけど。
結局、何を悩んでいたんだろうか?
「クソうぜぇ……お前、クソ松と何かあったの?」
じとっと一松に睨まれる。
「え……えっと」
キスしそうになったなんて言えなかった。
思い出すだけで恥ずかしくなる。
「は?……言えないことでもしたわけ?」
睨んだまま一松が私に近づいてくる。
「お兄ちゃんのおかえりだよーん!」
ギョッと二人で襖を見るとおそ松が入ってきた。
「お、おそ松兄さん……」
「え、誰?!この子。一松の彼女?!」
「ち、ちが……」
「だよなー?
お前に彼女出来てたら、お兄ちゃんが知らないわけないもんなぁ?
はじめまして!俺は松野家長男、松野おそ松でーす!」
ドカッと私の隣におそ松は座る。
ニコニコと笑顔を見せながら、私の肩をぐいっと自分の身体に引き寄せる。
「未木ヒナです」
「君が噂のヒナちゃんかー!
カラ松とトド松とも知り合いだよね?」
「う、うん」
「いやぁこんな可愛い子だったなんて、俺も早く紹介してもらえばよかったよぉ~」