第13章 優しさの奥に見えるもの
<カラ松side>
俺は松野家に生まれし次男、松野カラ松。
静寂と孤独を愛する男。
少々眠れぬ気分となり、俺はブラザー達が寝ている布団から出て、屋根に上がり、夜空に輝く星たちを静かに眺めていた。
……つい先日……
ブラザーのトド松がレディに偶然会ったらしく、俺に謝っていたと伝えてくれた。
その話を伝えながら嬉しそうな顔をしているブラザートド松。
明らかに好意を持ち始めているトド松を見て、気づけば俺は嫉妬の炎を燃え上がらせていた。
「カラ松くんは優しいね」
……はにかみながら言うレディ。
レディの言葉が俺の胸を締めつける。
違う、優しいなんて言わないでくれ。
俺は君のためなら何だってしてしまいそうなんだ。
「ヒナ……」
レディの名前を呟くと、自分がどんなに君に惹かれ恋焦がれているか思い知らされる。
会いたい……
俺は星空を見つめ、何度も何度も願った。
君に会わせて欲しいと……
………カタッ………
夜空を見つめる俺の後ろから、瓦の動く音が聞こえた。
俺は振り返ると夜空に願ったミラクルを目の当たりにする。
「レディ……?」