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【松】猫と六つ子

第11章 ヒマワリの向くところ



「十四松、頭まだ濡れてるよ」

一緒にベンチに座り、向かい合ってゴシゴシと十四松の頭を拭いた。

「アハハー、いつもと逆だねっ?」

「そうだね……私はいつもされるほうだからね」

「匂いもヒナはヒナだけど、僕は間違えないよ?」

ギューッといつも猫のときにされるように十四松に抱きしめられる。
やっぱり十四松は太陽の匂いがする。
笑顔はヒマワリだ。



どう考えたって不思議なのに、十四松が言うとなぜか納得してしまう。

「そう……なのかなぁ?」

「うんっ!あっ!でもね、なんかぁ……
いつもよりドキドキするー!?なんでだぁ?!」

不思議そうに私の顔を見る十四松。
至近距離で見つめあって、お互い更に頬が赤くなっていく。



「あっれぇ……?まじで変な感じー?!」

「うん、変な感じ!」

実際、はたから見たら公園で抱き合ってる男女にしかみえないもんね……
って実際、そうなんだった。



「トォウッ!家、帰ろっ?」

私の前でしゃがんで背中に乗るように待つ十四松。

「おんぶ?!さすがにちょっと恥ずかしいよ」

「いや、さすがに!」

あ、目がマジだ……
しぶしぶ私は十四松の背中に抱きついた。

「あっ、私、銭湯行こうとしてたんだった」

「んじゃ!銭湯までぇーよぉーいドォーン!」



私をおんぶしながらとは思えないほどの速さで十四松は銭湯へ向かうのだった。
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