第12章 あざとさを力に
<トド松side>
「ふぅ……」
僕はモールでウィンドウショッピングをしていた。
時間があるときは賑わっているところに来ることにしている。
ファッションの勉強にもなるしね?
家だと兄達のクズっぷりに気が滅入るんだよね~
でも、今日はなーんかスッキリしない!
僕はなるべくバイトが休みのときは予定をいれる。
なのに今日に限って、友達がつかまらなかった。
女の子たちはお茶だけーなんて、なかなか付き合ってくれないし……
お金なし、車なし、何もなし男……
つい先日、合コンで僕に張られたレッテル。
僕はふと思い出して、忘れるように頭を振った。
そのとき……
チラッと横を通り過ぎた子が目に入った。
思わず、あっ!と、僕は声を出した。
彼女は僕に気付かず、そのままスタスタと早足で進んでいく。
慌てて僕は追いかけた。
追いつくと彼女は一つの店で真剣に服を見つめていた。
この前はちょっと挨拶しただけの女の子。
そのときはカラ松兄さんと一緒にいて、兄さんに向けていた笑顔が可愛くて……僕はちょっとむかつくけどカラ松兄さんが羨ましくなったんだ。