第54章 ちっちゃな君と僕 逆ハー
いつもの遅い朝食……
おかしなことと言ったら猫ではなく、お人形サイズになってしまったヒナが六つ子が囲むテーブルに座り込んでご飯を一緒に食べていること。
異様な状況だが、この世界では絶対はない。
六つ子たちはいつもどおりに朝食をとる。
「……これはこれで……
ご飯少なくていいねっ!」
モグモグと小さな手でご飯粒を掴んで食べているヒナ。
(か、可愛い……)
六つ子はパジャマ姿で口に食事を運びながら、ヒナをジッと愛でる。
「……で、どーすんの?これ……」
「わかんない……」
「デカパンのところでも相談に行くか?」
「そうだね……
一人で行けないから、誰か連れてってくれる?」
「「はいっ!!!」」
六つ子全員が手を挙げる。
「え、えと……みんなで行かなくても……」
「何言ってるの!ヒナちゃんは大事な家族なんだから、みんなで行くに決まってるじゃない!」
「そうそう♪」
嬉しそうな顔をするおそ松をチラリと伺うヒナ。
「……おそ松くん、面白がってない?」
「えー?なんで俺だけ疑うのぉ?
ほれ、玉子焼きあーん♪」
自分の玉子焼きを小さく削るとヒナの口元へ運ぶおそ松。
「だってずっとニヤニヤしてるし……」
「だってさぁ~……
猫よりもいいよね♪俺達いないとなんも出来ない感じがっ!」
「……ほんと何にも出来ないんだよねぇ……
家事もできないし、一人で2階にもあがれないし、トイレもお風呂も着替えも……はぁ、どうしよ……」
玉子焼きをモグモグしながらため息をつく。
小さくしてもらったのに多い……
「まだ食べる?ヒナ。はい、お茶」
「……ん、お腹いっぱい」
これじゃ本当におままごとだ……なんて、考えながら、十四松からスプーンでお茶を貰った。