第53章 猫とイヤミ
「こ、困りますっ!
通りがかりに倒れてたから、近くのここに連れてきましたけど、イヤミさんを助けたってみんなにバレたら私も怒られちゃうんですっ!」
「今、ここで追い出しても、ミーはまた空腹で死ぬザンス!
のたれ死ぬザンス!仕事もない!金もない!住むところもない!そんなミーを見捨てるザンスかっ!?」
「そ、そんな……」
「仕事見つかるまでザンス!ほんのちょっとだけザンス!どうかっどうかっお慈悲をぉぉおっ!」
ミーを助けたのが運の尽きザンス!
腹をくくってチョー!
しばらく攻防が続いたあと。
大きくため息をついた小娘ちゃん。
「はぁ……少しの間だけですね?」
「少しだけザンス!」
「何個か約束守ってもらえます?」
「守るザンス!」
「わ、わかりました……」
「ありがとうザンスーーーっ!!!」
……小娘チョロいザンス。
「まず、ここにあるもの勝手に捨てたり、売っぱらったりしないでください」
「……売るほどの物があるとは思えないザンスが……」
「六つ子のみんなに貰ったものとかもあるので、勝手に捨てたら怒りますよ?」
ジッと睨む小娘。
この子は怖くないザンスが六つ子にバレたら確かに危ないザンスね。
「……たとえばこの馬券とかザンス?」
「あっ、それは……っ!
えええっ?!」
パクリと馬券を食べてしまうと呆然とミーを見つめる小娘。
「……これが大事なモノ?」
「お、おそ松くんと初めて競馬に行ったときの……
あ、当たりはちゃんと換金したんですけど……」
「お、おえ……っ、内容聞いたら不味くなってきたザンス……」
「ひ、酷いっ!」