第51章 夢に囚われて ~トド松王子~
そうだ……
僕、女装中。はぁ……
だからかっ!なんか妙に近いのっ!
女子だと思われてたのか……
*「私ったら名前を言うのを忘れていました……
ヒナと申します。
ここの近くの村に住んでいるのですが、お婆様に薬を届けに行くところなんです」
「こ、こんな夜に……?」
「ええ、お婆様が具合が悪いと聞いたので……
あの、お名前聞いてもよろしいですか?」
「え、僕……ト……トッティ」
迷った。トド松って言えば男だとわかるかもしれない。
でも今更、男でしたっていって警戒されても嫌だし……
僕はヒナにお婆さんのところまで送ると言い、二人で森の奥へ進んだ。
そういえばコンバットダヨーンは?
あいつ働けよ……僕、王子様なんだけど……
まぁヒナちゃんは僕が守るけどね?でも、もしかしたら守ってる間に自分の身が危ないときとかあるかもしれないでしょ?
保険はいるよね♪保険♪
静かな森の中、月明かりに照らされたヒナちゃんの横顔をチラリと見ると、まるで妖精にでも出会ってしまったのではないかと錯覚するほど綺麗だった。
なんだろ……これ何マジック?
いや、いつも可愛いよ?でもさ……夢のせいかな……
今すぐにでもその顔を唇を身体全部を……あーしてこーして……
「トッティ?」
「わっ!な、何っ!?」
夢で妄想しすぎたっ!
これは夢、これは夢、これは夢えええっ!
「出会ったばかりなのに……送ってくれてありがとう。本当は一人で少し心細かったの」
「いいんだ……
何があっても僕がちゃんと守るよ」
「優しいのね」
違うよ、好きだから……
守りたいだけ。
僕とヒナちゃんは小さな古びた小屋にたどり着いた。
「ここ……なんだけど……
いつもならまだ明かりがついてる時間のはず。
やっぱり具合が悪いのかしら……」
不安げに扉へと手をかけるヒナちゃん。
僕は慌ててその手を掴んだ。