第9章 喧嘩して仲直り
「わかったけどさ……なんでわざわざ男ばっかの家にいたいなんて……気持ち悪くないの?」
「えっ?気持ち悪い?なんで?」
「……なんでって、俺が質問してんだけど……変な奴」
「あのね、みんなといるとすごく楽しいよ?
幸せで……ずっと猫だったらそばにいられるのにな」
「まぁ猫でいたいって気持ちならわかる……」
フッと笑って一松がこっちを見る。
「でしょ?!
だっていつでも寝ていられるし、みんなかまって遊んでくれるし!
それにみんなにギュッてされると幸せな気持ちでいっぱいになるの
家族に入れてもらってるみたいで……
私、家族とあんまり仲良くなくて……」
「ふーん。
まぁそれに働かなくていいからね……」
「うっ……それは言わないで。いや、事実だけど」
「クズだね、お互い」
少しだけお互いに目を合わせ、二人で笑いあった。
「……みんな、もうとっくに家族だと思ってるよ、ヒナのこと」
「え?」
「……だから、猫でうちにいてもいいんじゃないかって言ってる」
顔を真っ赤にして、そっぽを向く一松に私は胸が苦しくなるほど嬉しくなって飛びついた。
「ありがとう!一松!」
「お……っまっ!
やめろ!その格好で抱きつくなっ!」
「だって、嬉しくて!」
真っ赤になって慌てた一松が可愛くて、私はギュッとさらに抱きついた。
「ち、ちちち近寄ったら殺すぞっつっただろっ!
だから、くっつくなって!」
二人でドタバタとしていると、玄関から誰か帰ってくる音がした。
ハッと二人で見合い、音に警戒すると階段をあがってくる足音が聞こえてくる。