第51章 夢に囚われて ~トド松王子~
それから数日後、その日はやってきた。
満月の夜だ。
薄暗い鬱蒼としている森の奥から、悲鳴が聞こえた。
誰かが襲われている。
声が……っ!
あの声は……っ!!!
僕の向かう足が震える……
グルルルルル……、
で、でかくないっ!?
まず僕の目に飛び込んできたのは想像したたよりもずっと巨大な狼。
こいつなら確かに人間も一呑みだろう。
黒く獰猛な目つきで見つめる先には震える彼女の姿がある。
「………っ!!!」
僕は銃をかまえた。
……絶対に外さないっ!
パァンッ!!!
当たったっ!!!
大きな音と共に狼が……僕のほうを見た。
そうだ……僕、赤ずきんだ……
狼は弾が当たったにもかかわらず、僕のほうへ真っ直ぐと走ってきた。
僕は再び銃を打ち込む。
ヒュッ!!!パァンッ!!!
*ギリギリのところで二発目が当たり、狼は逃げ出して行った。
……マ、マジ……こ、こええ……
僕はその場にへたり込んだ。
「あ、あの……ありがとうございました……」
顔をあげるとそこには、白いブラウスに赤いシフォンスカート。こんな森の奥ではミスマッチなくらい可愛い格好をしていた。
見つけた。
……僕のプリンセス。