第51章 夢に囚われて ~トド松王子~
食事する部屋にダヨーンに案内されると父さんはもうテーブルに座っていた。
食卓のテーブルはありえないくらい長い。
向かい同士に座ったら大声で話さないと絶対に聞こえないだろう。
昔の人ってこんなところで食事してたのかなぁ……
「父さん話あるんだよね?」
「ああ、あるぞ」
「だったら、横に座ってもいいかな?
遠すぎて会話にならないと思うんだけど……」
ダヨーンに父さんの近くに席を作ってもらい、僕は座った。
食事に手をつけながら、僕は父さんに話しかけた。
「話って何?」
「ああ……覚えているか?
母さんが死んで今年で10年になる」
「う、うん……?」
めっちゃうちの母さん現実で元気だけどっ?!
母さん死んだ設定なの?!
「俺はずっと満月の夜、あいつを探し追い求めた。
しかし、奴は同じところにずっとはいない。
長い月日だった……
そしてとうとう奴の今いる場所を見つけたのだ……っ」
「あいつって誰……」
「母さんを殺したあいつだっ!!!」
バーンッ!とテーブルを強く殴る父さん。
テーブルにあったスープが見事に落ちて、メイドダヨーンがバタバタしてる。
うん、何度も言うけど僕の母さんは生きてるからね?
「……で、どうするの?」
「お前は何度も一緒に仇を討ちたいと言ってくれたな。
俺はずっとお前のことも大切にしたいと今まで協力させていなかった。
だが……」
食事後、僕は再びダヨーンに着替えさせられる。
「……これって……」
白いワンピースにピンクのリボンのエプロンをつけ、そして極めつけに長い髪のカツラに赤いずきん。
……これ、着たことあるよ?
あるって言ってもね?コントでね?
……どこからどうみても赤ずきんな僕。
「奴は最近美しく若い娘しか狙わなくなったらしい。
そして赤いものが好きだそうだ。
その格好で奴を倒して欲しい」
「……僕……王子様だよね?」
「ああ、そうだな」
「王子様ダヨーン」
「な……なんで……なんでっ!
女装しなきゃいけないんだよぉおおおっ!!!」