第50章 夢に囚われて ~十四松王子~
助けてあげたい……
君が辛いのは嫌。
ボクが全部笑顔に変えてみせるから……
会えない日々……
きっとヒナは家で辛い思いをしているのだろう。
*ボクはある人を探した。
意外と簡単だった。
この世界、重要人物はボクの知った顔の人ばかりだったから……
探していた人は母さんの顔をしていた。
「すみませーん!」
「はい?」
「妖精さん!ボクは十四松王子!」
「ええ、存じております。
よく私が妖精だとわかりましたね」
「ボクだからね!
舞踏会に魔法をかけて欲しい人がいるんだ。
ボクの大好きな人!
その人を幸せにしてあげたいんです」
「では、自分でなさっては良いのでは?」
「ボクじゃダメなんだ。
ボクが信じていても夢は叶わない。
誰だって真の愛に出会うチャンスはあるんでしょう?」
ボクの言葉一つ一つをじっと確かめるように見つめられる。
この人は母さんじゃないけど、母さんもたまにこんな顔をする……すげー怖いときだ。
「……わかりました、では彼女に会ってみて、その愛が本当ならば魔法をかけましょう」
「やったぜ!ありが盗塁王っ!
あっ、ドレスは黄色でお願いシャースッ!」
フフフッ!楽しみだぁ♪