第50章 夢に囚われて ~十四松王子~
それからは屋敷へヒナに会いに行った。
ボクが行くと玄関で門前払いを食らうので、こっそり木を登って屋根裏部屋で話をした。
窓が開いてないときは会えない。
ヒナはまるで屋敷のお手伝いさんのように働いていた。
もっとボクが助けてあげれたらいいんだけど……
「じゃまた出掛けてくるね~♪」
「待つんダス。
もう町へはしばらく行っては行けないダス」
「え~?なんでぇ?」
「お父様の具合がよろしくないダス。
お父様のお願い覚えているダス?」
「な、なんだっけ?」
「お父様に何かある前に結婚すると約束したダス。
次の舞踏会を開くのに町にもおふれも出したダスから、町の女性達も来るダス。
今、町に王子様がウロウロしているのがバレるのは非常に不味いダス」
*「ええ~そんなぁ!」
「まずは着替えダスね」
ボクはほぼ強制的に着替えさせられた。
白の軍服に赤いズボン。
わぉ♪王子様だーっ!
そのあと、こっそりまた町に向かってみたけど、ヒナの家の部屋は窓が開いてなかった。
次の日も次の日も……