第50章 夢に囚われて ~十四松王子~
超特急でキノコを集めてヒナの元へ運んだ。
「おまたせしマシーン軍団!」
「まぁ!こんなに沢山……
あら、でもこれは食べられない……
これは大丈夫♪
あ、これは美味しいキノコです」
ニコニコと楽しそうにキノコを分け始めたヒナ。
ふふっ!
やっぱりヒナは笑ってないとね!
「これは~?」
「あっ、十四松様、それは直接触ると手がかぶれてしまいます」
慌てて僕の手を取ると小川で洗ってくれるヒナ。
様づけってなんかくすぐったいな……
でも僕に世話を焼くとこは普段と変わらなくて嬉しい。
「ありがと。
きのこ足りる?」
「ええ、これでシチューが作れます。
ありがとうございました♪」
「さっきは何で泣いてたの?」
「え……っ!?
あ、お父様のことを思い出して……ちょっと悲しくなってしまったのです。
もう……私には何もありません」
「辛いの?」
「少し……
悲しみや苦痛があるのが当たり前ですから……
でも、自分の世界を変えられるのは自分だけ。
泣いてばかりではいられませんわ」
真っ直ぐに空を見上げるヒナはいつもと何にも変わらない。
ボクの大好きなヒナだ。
「そっか……エライんだね」
「あっ、私早く帰らなきゃ……っ
色々とありがとうございました、十四松様」
*「ねぇ、ヒナ、おうちに会いに行ってもいいかな?」
「お、うち……ですか……
家には、その……母達がいるので、もしかしたら会えないかもしれませんが……」
「大丈夫!会いに行くよ!」
「そう言ってくださると嬉しいです」
僕らは笑顔で向き合い、指切りをして別れた。