第50章 夢に囚われて ~十四松王子~
森の中でヒナを探すと、小川のほとりで座り込んでいるのをみつけた。
陽の光でキラキラ光る川を見つめながらポロポロと涙を流すヒナ。
嫌だ……
泣かないで……
夢でも、ヒナの悲しい顔なんて見たくない
本当は……ギュッて、すぐにでも抱きしめたい。
落ちてる涙を掬ってあげたい。
涙の数だけキスしてあげたい。
*「とぅっ!スライディングッ!!」
「きゃあっ!」
「からのーっボウエッ!」
「え、えと……あ、貴方は一体……?」
とっておきの顔芸をヒナの目の前でやってみた。
涙は引っ込んだけど、笑ってもらえなかった。
ショボーン。
いつもだったら爆笑なのに……
「十四松だよ!」
ヒナ……
ボクだよ、十四松だよ。
「ご、ごきげんよう……
私はヒナと申します」
「大丈夫?」
「え、ええ……びっくりして涙引っ込んじゃいました」
クスクスと笑ったヒナ。
あー良かった♪
「何してたの?」
「ええと、夕食のキノコを取りに……」
「じゃあ、ボクが手伝うよ!」
「えっ?」
ボクは森の中を駆け出した。