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【松】猫と六つ子

第48章 夢に囚われて ~チョロ松王子~



僕はヒナちゃんを捜しに行くことにした。
ストーリーでは待っていれば僕のところへ来るはず……
*来るはずなんだ……だけど……
ふと、気がつくと僕は手に紙を握っていた。



「見た目がすべてではない。
努力しなければ手には入らないものもある」

紙を見た瞬間……
すぐにでも探しに行かなければ行けないと思ったんだ。
僕はイヤミと一緒に親指姫が生まれた家へ向かった。

「……この家ザンス」

覗くと夫婦が泣いていた。
大切な大切な親指姫がいなくなってしまったから……
物語だってわかってる……
わかってるけど、これって酷くない?



僕は見ていられず、すぐに次の場所を探しに行った。
そこは沢山の睡蓮の花が咲く大きな水辺。
ゲコゲコ五月蝿いほど鳴いているヒキガエルの元へ向かった。

「ヒナちゃんはどこだっ!」

ヌルッとした濃緑色の後ろ姿、ギョロギョロした眼だけをこちらに向けたヒキガエル。
しかも、僕よりだいぶでかい……オ、オエッ!

「……な、何故、ヒキガエルザンスッ!
コイツらヌルヌルで気持ち悪いザンスーーっ!」

「でかい声でディスるなよっ!!!」

食われたらどーすんだっ!!!



……ゲロッ……

*「……ち、違うザンス!!!
ミー達は何も知らないザンスよーっ!!!」

カエルが鳴くとイヤミが慌てて言い訳をしはじめた。

「ど、どうしたっ!?」



……ゲロ…ゲロッ!……

「シェッ!シェーッ!
ヒキガエルはお姫様を逃がされて怒ってるザンス!
替わりにチョロ松王子をよこせと言ってるザンス!!!」

「はぁあああっ!!!???
ふざけっ……うわっ!!!」

ベロッとヒキガエルから舌が伸び、身体に巻き付かれる。

「くっ、国のことはミーに任せるザンス!
ヒ、ヒキガエルと幸せになってチョーッ!!!」

イヤミは脱兎のごとく逃げ出した。
僕は置いていかれる。



「う、うそだろっ!!!???
待て!イヤミー!!!
やめ……っ!
う、うっうわぁあああああっ!!!」
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