第46章 夢に囚われて ~一松王子~
「……おいっ行けよっ!」
俺がヒナを見つめたまま放心していると、ドンッ!と後ろからチビ太に押され、物陰から追い出された。
*「ぁ……えっと……」
「え……?
あ、こ、こんにちは」
俺の顔を見て頬を染め、笑顔を見せるヒナ。
え?これ……俺にもう惚れてんじゃないの?
その笑顔に負け、抱きしめたい衝動と闘う俺…
ぐっ……なんなの?
クソ可愛い過ぎんだけど……
そう思ったとき、突然、俺の手の中に何か触れている感触が現れた。
……え?
…………紙……?
チラリとその手元に現れた紙を俺は読んだ。
おい、マジかよ……これを読めって?
ふ、ふふふふざけっ………!
「あの……どうかなさいましたか?」
「あっ……えっ………?!
あ……貴女のようなう、ううう美しい方が何故こ、このような場所にっ……!
貴女のお名前をお聞きしても宜しいでしょうかっ」
あああああっ死ぬっ!!!
俺は今、死ぬっ!!!
誰か殺してくれぇえええっ!!!
「名前は……言えないのです……
どうか…どうか…私がここにいることは誰にも伝えないで欲しいのです」
悲しそうな顔をするヒナ
やめろっやめろ……
俺はこんなところに演技をしにきたんじゃねぇ……
「それよりさ……
もう帰ろう……もう嫌だよ……なんなのここ……
俺と一緒に帰ろうよ」
「えっ……?」
突然、俺が話し方を変えたので、ヒナは困惑した顔をする。
こんな夢うんざりだ……そんな俺のこと知らないような顔するんじゃねーよ……
どんなに可愛くたって……