第46章 夢に囚われて ~一松王子~
俺とチビ太は馬を降りて、ハタ坊を追いかけた。
鬱蒼とした森の奥へと進んでいく。
……つか、ハタ坊足おせえ……
追いかけたというより、普通に後ろについてまわった。
奥へ奥へと進んでいくと古びた小屋が現れた。
煙突から煙が上がっている……誰かいるのだろう。
俺とチビ太は物陰に隠れ、様子をみる。
ハタ坊が外から窓を叩く。
「大変だジョー!大変だジョー!」
「……どうかしたの?おとぼけさん♪」
窓から顔を出したのはネイビーブルーのパフスリーブに黄色いロングスカート、赤いリボンのカチューシャをつけているヒナ。
あの夢魔が姿を変えていたのとは違う。
探していたのはこいつだ。
間違えたりなんかしない。
「大変だジョ!?
隣国から王子様がヒナ姫を探しに来たんだジョ!?
容姿端麗かつ聡明なイケメン王子だジョ!」
おい、やめろっ!さっきから何なのその紹介っ!?
俺をどうしたいの!?
「フフっ、大丈夫よ?
私がヒナだって言わなきゃ、王子様にもお母様にもバレたりしないわ。
それよりまだお仕事の時間でしょ?
みんな待ってるんじゃない?」
そうハタ坊に向かって笑顔を見せるヒナ。
ドキッ!と、俺の心臓が鳴った
あれ……なんだ……?
ヤベえ……いつも以上に…まてまてっ!
収まれっ!心臓っ!!!
「あっ……!
し、仕事だったジョー!
行ってきますジョ!」