第8章 ちらりとみえる本性
「じゃあ、カラ松兄さん。彼女にヒナのこと聞いた?」
はぁーとため息をつき、スマホをいじりながらトド松は冷ややかに言う。
うっ、いきなり痛いところついてきたー!
一松のひざに乗っていた私はビクビクと耳を傾ける。
「ん~?……ああ、聞いたぞ。
知らないと言っていた」
「えー?ほんとに?ちゃんと聞いたの?
だって、あの子ヒナと同じ名前で、しかもネックレスも同じのしてたんだよ?
偶然にしては出来すぎてない?」
六つ子全員の視線がクルリと私に向けられる。
や、やばいニャー……動揺して猫語になる。
とりあえずゴロンと寝転び、視線から明後日の方向を見ておく。
「飼い主かどうかわからないけど、理由が何かあるんじゃないのかな?」
「フッ、ビューティー&キュート!
さらにミステリアスガールとは……なんて罪作りなレディだ!」
「黙れ、クソ松。生ゴミで捨てるぞゴラァ!」
「ノォオッ!いちまぁーつ!目がぁああ」
一松がカラ松を蹴り飛ばし、部屋をぐるぐると回される。
「なーなー、名前が一緒で同じネックレスつけてるとか、もしかしてこいつが変身しちゃってたりしてなー?」
ゴシゴシと私の頭を撫でながら、何にも考えてなさそうな顔で笑うおそ松。
さすが、長男(?)。
妙に核心をついてくる。おそるべし。
ニャアと鳴いて、トッティに負けないくらいのウルウル目で六つ子を見まわしてみたけれど……
「「……」」
先ほどと違い、変に勘ぐり始めた六つ子の視線が私から外れない。
だめだ、ニャンコキュートフェイスが効かないぃ!
変な汗出てきたぁ!絶体絶命!