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【松】猫と六つ子

第42章 君に捧げる 【一松 カラ松】


<一松side>

こいつが俺達の元へ帰ってきたと思ったら、俺はとにかく離れたくないという感情だけがずっと腹の中で渦巻いていた。
今日一日、嫌がられない程度に近くにはいたが、クソ兄弟達がいる手前なかなか触れられない。

そして暴走した俺は今に至る……



「一松っ!?」

ガッと腕を引っ張られ、自分が風呂に沈んでたのを思い出した。
し、死ぬかと思った……

「一松ったら!沈んだまま上がってこなくて死んじゃうかと思った!
次、沈んだら怒るよっ!」

そもそもお前は俺が風呂に侵入したことを怒れよ。
ほんとズレてんな……
そんなとこも嫌いじゃないけど……



「嫌じゃないの?」

「え?嫌じゃないよ?
私も一緒にいたいもん
だから、一緒に帰るんだよ……」

「そうじゃなくてさ……」

俺、お前の格好ガン見してんだけど……
そこはいいの?
俺に舐め回すように見られても平気なの?



ヒナは外を眺めながら縁にもたれている。
濡れた髪、首筋、腕、わき……
全部エロい。
俺はこれが欲しい。



でも、今は隣にいるだけでどこか満足してる自分もいる。
俺、おかしいのかな?
いや、まぁ……下半身のほうは見事に反応してるから、おかしくはないだろ……



……あのとき……
昨日、着物を着たこいつを見たとき、俺はヒナを別次元の人間だと思った。
俺とは違う世界にいるんだと、俺のそばにいなくても大丈夫なんだと思った。
そのあとすぐにこいつの流した涙をみて……そう思った自分が情けなくなった。

こいつは帰りたかったのに、俺は迷ったんだ。
迎えにくるべきだったかどうか……
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