第7章 優しくて痛い
カラ松の横顔をチラリと覗く。
視線の高さが同じ。
たったそれだけなのに何故か嬉しい。
「カラ松くん、もしかして研究所の前で私を待っていてくれた?」
「す、すまない!
先日、レディに出会えて……
その…レディの笑顔が忘れられなくて、会いたかったんだ」
すっとカラ松は慌ててサングラスをかけた。
頬が少し赤くなっていた。
「ありがとう。
でも、研究所には普段いないから。迷惑になっちゃうよ」
「そうだな、次からは約束しよう!
研究所では何をしているんだ?」
「ええと……バイトでモニターしてるの。
薬飲んだり、実験したり?」
「まさか!美女薬を飲んでいるのかっ!?」
「美女?!
やだなーそんな薬飲んでいたらアイドルにでもなってるよ」
なんてったって猫……猫ですよ。
地下アイドルの橋下ニャーにさえなれない。
「レディはそのままでもビューティフルだぞ?」
当たり前のようにカラ松は素直な言葉を綴る。
優しいなぁ……
「カラ松くんは優しいね」
「……っ!」
私がそう言うとカラ松はグイッと私を振り向かせるように手を掴んだ。