第39章 ずっと一緒に 後編
<一松side>
布団を片付けたあと、部屋に七人分の朝食が並べられた。
朝から鍋があったり、海、山の幸が盛り沢山だ。
朝っぱらから、こんなに食うの?
元々のメニュー……じゃ、なさそうだ。
運ぶ仲居達はチラチラとこちらを伺っている。
俺達をというより、ヒナがここにいるのが不思議らしく見ているようだ。
こいつはここじゃ、有名人かよ。
ヒナは全然お構い無しにいつもどおり俺達に飯を配った。
「ちゃんと七人分なんだね?」
「うん、昨日すぐに頼んでおいたの。
兄さんのお友達だから顔は出してこないと思うけど」
ニッコリと笑いながら、お鍋をよそうヒナ。
もう、その笑顔が逆に怖いんだけど?
「もう、大丈夫なのか?」
「うん!ご心配おかけしましたっ」
「……ほんとだよ。
十四松なんて、泣き止まなくて大変だったんだからな?」
「ええっ!?ご、ごめんね?十四松……
私の伊勢海老あげるね?」
「やったぜっ!
……でも、僕だけじゃないよー?
一松兄さんもチョロ松兄さんもトッティも泣いてたよ!」
「ぐ……っ!」
墓穴掘った!
「なっ!なんで知ってんの!?」
「やっやめてよっ!恥ずかしいじゃん!?」
「僕だけバラすのはズルいぜ!」
「みんな……ごめんなさい」
しまった、言うんじゃなかった。
こいつを責めるつもりじゃなかったのに……
「フッ……俺は心の中で泣いてたぜ?」
「はー痛い痛い。
まーこんだけ俺達に愛されちゃったんだから、いい加減もっと頼ってよ?
全力で守ってやっから」
「う、うん」
嬉しそうに笑顔を見せるヒナ。
チックソが……上二人に助けられてしまった。
「そっ、そそそれよりレディ?
昨日の夜のことなんだが……」