第38章 ずっと一緒に 中編
<おそ松side>
案内された部屋に入ると、真っ赤な振り袖に普段しないような派手めの化粧をしたヒナがいた。
それでもこいつは綺麗だ。
三日ぶりのヒナ。
俺は胸がギュッと締め付けられた気がした。
たった三日よ?
すぐにでもハグしてキスして、その真っ赤な着物を脱がしてやりたい衝動に駈られる俺。
あーもうっ本当に可愛くて仕方ない!
「……松野家長男!松野おそ松でーす!
リーダーシップに溢れた俺様♪
夢はビッグなカリスマレジェンド!
お前のこと、一生大事にするからっ!
俺にしとけよっ!なっ?」
「……な、何してるの?」
「何って、見合いなんだろ?」
「おっお待ち下さいっ!順番にっ!」
「待ってられるかぁっ!!!
フーンッ♪待たせたなぁ?
松野家に生まれし次男、松野カラ松!
静寂と孤独を愛する男、未来の事はノープランだ!
だがレディのことは……死ぬまで愛すと誓おう!」
「はいどーもー!
僕は松野家三男、松野チョロ松
ぶっちゃけ、兄弟ん中で一番まともなの僕だから!
ヒナちゃん!迎えに来たよっ!
ハァーン♪その格好、超絶可愛いよぉぉぉお!」
「……松野家四男、松野一松
今、一抹の不安を感じたでしょ?それ間違ってない
いつまでこれ続くんだって?
諦めろよ?俺らに捕まってる時点でお察し……
ほら、さっさと帰るぞ」
「はいはいはいはぁーい!!!いいっすか!?
僕、松野家の、えーっと五男、松野十四松!
すっげー元気!あとねーえっとねー……
ヒナ!大好きだよ!
ねー?もう抱きしめてもいいー?」
「十四松兄さん?僕の番があるからね?
松野家末弟、松野トド松♪
可愛くて愛しくてアイドル的魅力がある末っ子王子様だよ♪
ヒナちゃんの居場所は僕たちのいる場所でしょ。
さ、帰ろう?」
「「お好きな松を!」」
「……なんか最近似たような自己紹介聞いたよ……?」
「だよなー?ははっ
お、おいっ泣くなよっ!」
俺たちの姿を見て、泣き始めたヒナに近づこうとすると、間に男が立ち塞がる。
「何なんだ、お前ら……見合い相手じゃねーな?」
「てめーこそ、ヒナちゃんの何なんだ」
「兄ですが?」
「おっお兄様!?」
「何ですか……騒々しい」