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【松】猫と六つ子

第38章 ずっと一緒に 中編


<トド松side>

現れたのはきっとヒナちゃんのお母さんだ。
顔は確かに似ている……だけど……

「この子を部屋に戻しなさい」

「お母さん!待ってください!
私の話を聞いてくださいっ!」

「聞かなくてもわかります。
このクズ達といたいのでしょう?
……そんな戯けた話あってたまるものですか」

「お母さんっ!」

「……蔵へ連れて行きなさい」

「母さん、でも……」

「さっさと行きなさい」

ヒナちゃんはお兄さんに無理やり部屋から連れていかれてしまった。
堂々と僕らをクズ呼ばわりするこの女性……
本当にヒナちゃんの母親なんだろうか?
クズなのは認めるよ?でも……



「……あんたにクズ呼ばわりされる覚えないんですけど?」

一松兄さんが誰よりも早く口を開いた。

「クズはクズでしょう?
仕事もせずに毎日フラフラ歩き回って親の脛をかじっているクズ」

「だから何だって?
ヒナを閉じ込めてるあんたのほうがよっぽど偉いって?」

「レディは自分の意思で俺達といるんだ。
貴方が決めることじゃない」

「あの子は私の娘です。
どうしようと貴方達には関係のないことでしょう」

「娘だからって、好きでもない相手を宛がって結婚させるのが母親なんですか?」

「では、貴方達といれば良いとでも?」

兄さん達がどんな言葉を綴っても、顔色一つ変えない。

「ヒナは僕たちといると毎日幸せだって言ってるよ?
母親なのにそんなこともわからないの?おっかしいねー?」

「ヒナちゃんは僕らといるほうが幸せなんだ!
貴方、ちゃんとヒナちゃんの顔見れてます?」

「……まったく話になりません。
何が幸せなのかなど、今だけの話でしょう?
この子達をさっさと外に出しなさい」

十四松兄さんと僕が話していたのに、その人は僕らに視線も合わすことなく従業員の人に指示を出した。



僕らはたくさんの人たちに捕まれ、外に追いやられる。

「おいっ!」

「ちょっやめてよ!」

「ふんぬーっ!」

「やめろっ!十四松!ここで暴れるな!」

「触るんじゃねぇっ……クソがっ!」

「一松っ!我慢しろっ!
レディの家の人間を傷つけるな!」



そして僕らは外へ締め出された。
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