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【松】猫と六つ子

第38章 ずっと一緒に 中編


<ヒナside>

実家に帰ってから私は……
着替える、人と会う、相手をする、の繰り返し。
何人もの男の人と話して一体何になると言うのだ。

あちらこちらから人を呼び出し、話をさせ、選ばせる。
それがたとえどんな容姿でも、どんなに金持ちでも……
私は選ばないというのに……
きっとこのままでいれば私は自分が選ぶことのない顔も知らない相手と結婚させられるのだろう。
私はここではただの物だ。



「……いい加減、諦めてさっきの奴にしちゃいなよ
それなりに顔良かったじゃん?
そのうち見られなくなるくらい酷くなってくるぞ?」

使用人に着物に着替えさせられている私の前で、ニヤニヤと笑う兄?らしき存在。
家を継ぐことになっている彼はさっさと結婚して、地元で好き勝手やっているようだ。

「そー睨むなよ?
まぁ俺にはどうでもいいけど?」



私も兄はどうでもいい……
問題は母だ。



大量にみんなと私の写真を送りつけ、手紙には帰ってきなさいの一言だ。
縁を切るために戻ったのが失敗だった。
昼間も夜も見張りの使用人をつけられ、兄も監視につける始末。
話も応じてくれず、ひたすらこの見合いをさせられている。



みんなにちゃんと……相談すべきだった。



私の家はここじゃない。
すぐに帰ってみんなに謝りたかったのに……



「次の方がいらっしゃいました」



「んじゃっ!おっじゃましまぁーすっ!」

「……えっ?」

聞き慣れた声に私は顔をあげた。
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