第37章 ずっと一緒に 前編
<十四松side>
僕はいつもの河原で座っていた。
ただ何かを探してるような、川を見てるだけのような……
時間だけが過ぎていく。
よくわからないんだ。
苦しくて、苦しくて……
胸が苦しくて……
もう涙の止め方もわからなくなっちゃった……
僕ってどうやって笑ってた?
ねぇヒナ……
どうしていないの……
胸にぽっかり穴が開いて、全部僕から零れ落ちていってしまう……
河原によく二人で来たね。
僕がずっと素振りしてるのを君は見ていただけだけど、それだけなのに楽しくて楽しくて……
猫のときは草むらでかくれんぼしたね。
僕がすぐ見つけるとヒナは「ズルい匂いで探さないで」って言うんだ。だから、鼻にテッシュ積めたら大笑いしてた。
それでも僕はすぐにヒナを見つけたよ?
だって大好きだから……
どこにいるかなんて、わかっちゃうもん。
昨日は君のクッションを抱き締めて寝たんだ。
僕は……
家からヒナの匂いがなくなるのが怖い。
「……何してるジョ?」
後ろに黒い車が止まったと思ったらハタ坊が現れた。
「何も」
「遊ぶジョ?」
「遊ばない」
「辛いジョ?」
「辛い」
「………」
「Mr.フラッグ」
ハタ坊社員が何かをハタ坊に渡した。
それをハタ坊は僕に渡す。
「これもらって欲しいジョ!」
「何……?」
「ヒナちゃんも大事な友達ダジョ!」