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【松】猫と六つ子

第37章 ずっと一緒に 前編


<トド松side>

僕は弱井家に来ていた。

「トト子ちゃん!
何か知ってたら教えてほしいんだ!」

部屋をノックするけど、完全に無視される僕。

ヒナちゃんは僕らのところにいる間、まったく自分の家の話はしなかった。
むしろ避けていたんだと思う。
僕らも困った顔をするヒナちゃんが見たくなくて、聞かないようにしていたんだ。

「トト子ちゃん!
頼むよ……ほんと……何でもいいから教えて」



藁にもすがる思いで、トト子ちゃんの部屋の前で立ちすくむ。
どこに住んでたか、
どこで生まれたか、
どんな子供だったか、
あんなに近くにいたのに、僕は何も知らない。



それでもよかった。
君がそばにいてくれたら……
どこの国のお姫様だって、かまわなかったんだ……



「いつまでもトト子の部屋の前で泣いてるんじゃないわよ!
クソニートッ!」

「ト、トト子ちゃん……ぐすっ」

「きも……っ、はぁ……
どこに行ったかは知らない!
今度の休みに約束してたから、会えなくなるって謝りに来た」

「そっそれでっ?!」

「知らないわよ!
ただ…泣いてたから……文句も言えないし」

やっぱり何かあったんだ……っ!
探さないとっ!



「ありがとっ♪トト子ちゃんっ!」

「うるさいっ!
あんたたちのために教えたんじゃないからね!
私があの子と遊びに行くんだからっ!
……早く連れて帰ってきなさいよ!」

「うんっ♪」
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