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【松】猫と六つ子

第37章 ずっと一緒に 前編


<チョロ松side>

昨日はもう散々だった。
みんな動揺しておかしくなっちゃうし、いくら言っても全然収拾つかなくて……

僕だって……
手紙を見て、胸が張り裂けそうだったのに……
兄弟を止めることで冷静さを取り戻そうとしてたんだ。



ヒナちゃんと最後に会ったのは朝ごはんの時。
エプロン姿でニッコリと僕にご飯を渡してくれた。

ヒナちゃんが僕の奥さんだったら、この笑顔が僕だけの物になるのにって……思ったんだ。

毎日、見られると思っていた君の笑顔。
たった1日見られないだけで、こんなに苦しいなんて……



「おい、いい加減にしろってんだ」

「……ほっといて」

チビ太のハイブリッドおでん屋で、僕はグイッとビールを飲み干して、コップいっぱいに追加する。
飲んでも飲んでも酔えない気がする。



帰ったってヒナちゃんはいない……
そんなところに帰ったって空しいだけだ。

「お、おい……っ」

僕の目からポタポタと落ちる涙がビールに落ちる。



ヒナちゃん……僕は……



「はぁ~っ!!!
いつまで泣いてんだっバーローッ!!!
あの子だってきっと好きでいなくなったわけじゃねーよっ!
だってあんなに……っ」

「……は?」

僕が顔を上げるとチビ太はしまった!と口を押さえる。

「……ヒナちゃんに会ったの?」

「しっ、知らねーよ?!」

「チビ太……頼むよっ!
何か知ってたら教えてくれっ!!!」



「……あーっちきしょーっ!
昨日の夕方、仕込みしてたら食べに来たんだ。
すげー元気なかったけど、おいらのおでん食いてえって……」

「そっそれでっ!?」

「仕込みの終わってる3つだけ食べて帰った。
お前らには来たことを言わないでくれって頼まれたんだ……おいら、彼女の顔見たら何も言えなくて……」

「……帰る!」

僕は残りのビールのイッキ飲みし、立ち上がった。



やっぱりヒナちゃんに何かあったんだっ!
早く帰らなきゃっ!
うっ!

「おいっ!店の前で吐くんじゃねーっ!!バーローッ!」
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