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【松】猫と六つ子

第37章 ずっと一緒に 前編


<トド松side>

今日のショッピングは当たりだった♪
いい感じの帽子も買えて、帰りに可愛いシュシュを見つけたし、ちょうどセール中だったからヒナちゃんにお風呂上がりにつけてもらおうとお土産に買ったんだ♪



家の前に着くと玄関前にチョロ松兄さんがいた。

「トド松!待ってたんだっ!早く部屋に来いっ!」

「えっ?何っ?!」

チョロ松兄さんにグイッと腕を引っ張られ、部屋まで連れていかれた。
部屋には兄さん達が普段することのない神妙な顔で一枚の手紙を囲んで座り込んでいた。
手紙の表には可愛い字で僕ら六人の名前が書かれていた。

何?何なの……?



「全員宛てだったから、お前が来るまで開けなかったんだ」

「……開けるからな?」

そう言っておそ松兄さんは手紙をとった。
いつもなら手紙なんて破れるくらいの勢いで開けるのに……
優しく大切な物のように手紙を開いた。



手紙はとても短い文だった。



『突然だけど、実家に帰ることにしました。
みんなごめんね。お世話になりました。
ヒナ」



「は?これだけ?」

僕は思わず声に出した。
何か他にメッセージがないのかと、おそ松兄さんから手紙を奪って、表も裏も隅から隅までヒナちゃんの言葉を探したけど、見つからない。

「ね、ねえっ……おかしいよ!
昨日まで全然何もなかったじゃないかっ!
朝だっていつもどおりだったし!?
そ、そうだっ!また誘拐されたんじゃ!?」

「母さんと父さん宛もあったんだ……
だから違う内容であればって思ってたんだけど」

「それにこれはレディの字だ」

「……アパートも見に行った……空っぽだった……」

「じゃ、じゃあっ実家まで会いに行こうよっ!
こんなっ!手紙一枚だけなんてっ!
おかしいよっ!絶対っ!!!」

「う……うわぁぁあんっ!!!」

僕が叫ぶと堰を切ったように十四松兄さんが泣き始めた。
十四松兄さんが好きだった彼女が去っていったときのように……
でも、あのときのようにみんなで励ましたりはしない。
いや、出来ないんだ……



あのときとは違う。
僕らだって……大声で泣きたいんだ。



ヒナちゃん……どうして……
僕はシュシュの入った袋をギュッと握った。
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