第36章 風邪を引いた猫
<一松side>
夜……
「「さーせんっしたー!」」
目が覚めたヒナに土下座の三人。チョロ松兄さんは自己判断で目隠しをした状態。
「にゃ、んで謝ってるの?」
「……あ、やっぱり覚えてねーんだ」
ガックリしてるおそ松兄さん。
……一体、何したんだよ、こいつ殺してぇ。
「ブラザー達はレディに悪さをしようとしたのさぁ。
熱に浮かされるレディ、まさにマックスキュート!」
「クソ松だまれ」
「そっそんにゃ……き、気にしにゃ…いで」
はぁーとため息をついて、ヒナは布団に潜った。
猫語をしゃべりたくないんだろう。
俺達は居間に戻って夕食をした。
「……一松」
「あ?」
「母さんに頼まれたんだけど……僕、今日は行けそうもないんだよね。頼むよ」
「ええぇっ?!」
なんで俺……クソ……
チョロ松兄さんに渡されたのはホカホカのお粥。
しぶしぶ俺は二階に上がった。
「……一松」
俺は無言でヒナの枕の上にお粥の盆を置いて、おでこのタオルを取った。
赤いのはだいぶ収まったみたいだけど、まだボーッとしてるヒナ。
「起きれるか……?」
「ん……」
まだ力が入らないみたいなので、起きるのを手伝って背中にクッションを詰めた。
これは……
俺が食べさせないといけないフラグか?!
そうなのか!?無理すぎるだろっ!!!
「たっ食べれるかっ?!」
「うん……」
くそっ、どうやったら、こいつに堂々とあげられるんだ!?
誰か教えてくれえぇっ!
「た、食べさせてください、一松様は?!」
「ぇっ……えと、食べさせてください、一松様……」
思ったより素直に答えたので俺は調子に乗った。
「お口に早くちょうだぁい」
「ぉ……お口に早くちょうだぁい……ぅにゃ……」
さすがに恥ずかしかったようで、頬の赤みが戻ってしまった。
無駄に可愛いんだけど……
こいつ猫なうえに猫舌だから、俺はれんげに乗せたお粥を一生懸命冷ました。
ほんと……何やってんだ俺……死にたい……
それでも口に入れてやると嬉しそうに笑ったヒナ。
あ、これ……結構、癖になるかも……