第35章 紙一重の二人 逆ハー
<カラ松side>
まったく……十四松はとんだヤンチャボーイだ。
六つ子に産まれた俺達だが、対極の位置にいると言っても過言ではないだろう。
可愛くて純粋なのは十四松!
カッコよく美しいのはオレ!
レディに甘えるのは十四松!
レディを甘やかせるのはオレ!
レディが世話を焼くのは十四松!
レディに世話を焼くのはオレ!
んー?比べてみるとヒナが必ず出てくるな。
俺と十四松はきっと誰かが間にいることで、丁度良くなるのだろう。
「頑張れ!ヒナー!」
「いっくよー!」
カキーンッ!と空高く飛んでいくボール。
ヒナは意外とスポーティーだった。
もう一緒に過ごすようになってから、しばらく経つがまだまだ俺の知らないところもあるんだな。
「はぁー汗かいちゃった」
そう言って俺の隣へ座るヒナ。
パーカーを脱いで、パタパタと手で扇いでいる。
「ほら、こっち向いて」
俺はヒナの首筋に光る汗をタオルで拭いた。
白いTシャツになると少し透けた下着に自然と目がいってしまう。
俺はそれをみて生唾を飲み込んだ。
……首筋を舐めたい。
いかん!ここにはスポーツに来てるんだ!
誘惑に負けるんじゃないっ!オレ!
「んじゃー僕もやってきマッスルー!」
「十四松っ頑張れっ!」
豪速球のマシンの球をガンガン打ち返す十四松。
ヒナは嬉しそうに見つめている。
そして、そのヒナを見つめてしまうオレ。
「レディ、汗で冷えるから着とこうか」
「んー?まだ大丈夫だよー」
「いやっ着とこう!むしろ着てくれ!」
「ふふっどうしたの?」
「……これでも結構、我慢してるんだ。
だから……」
俺はパーカーをヒナの肩にかけて、手をそっと握った。
汗を拭いたときは平気な顔をしていたのに、ヒナは恥ずかしそうに頬を染める。
「……っ!その顔は反則だ……」
結局、俺は我慢できずに、堪らずヒナに唇を重ねた。