第6章 猫の幸せ
<ヒナside>
私は猫の姿に戻り、研究所の窓際から隣の屋根へ飛び移った。
屋根から研究所を見てみると、研究所の前にカラ松がいた。
あれ?デカパン博士にまだ用があるのかな?
先に帰るね、ごめんね?と心の中で思いながら、私は松野家へ向かった。
松野家の二階に辿りにつくと一松が他の猫にエサをやっていた。
私は少し家の手前で止まる。
やっぱりまだノラ猫はちょっと怖い。
猫は本当は好きなんだけど……
あのとき、襲われたのことを思い出すとどうしても怖い。
一松は私に気づくと他の猫を帰らせた。
「……おいで」
おそるおそる窓から入ると一松はギュッと強く私を抱きしめた。
「……本当は。
帰ってこないかと思ってた
……おかえり」
顔を覗くと、一松は少し顔を赤らめた。
どうしよう……
そのたった一言がすごく嬉しい。
私は無性に泣きたくなった。