第33章 色めく二人 逆ハー
<一松side>
なんなんだよ……
ヒナとカラ松が組むと更に面倒くさい。
ずっと俺にニコニコして、子供扱いされる。
十四松かトド松を無理やり連れてこれば良かった……
「目的はこれ!」
広いイベント会場らしい場所に着く。
「猫フェス……?」
「猫かっ!なるほどなっ!
よかったな、ブラザー?」
「ねっ?」
「……わ、わーい」
大喜びでもするんじゃないかという目で見つめてくる二人に折れる俺……マジ勘弁してよ……
猫は好きだけど、こんな人混みに連れ込んで……
「し、しかしレディ?
俺はそんなに猫が得意ではないんだがぁ」
「えっ?!そうなの!?
私が猫のときいっぱい触るでしょ?」
は?死ね!クソ松!
「そ、それはまた別の話で……」
「ふーん……そうだね。
だって触りかたがね?」
「……おい、セクハラ松は入口で待ってろよ」
「ふふっ、留守松?」
「い、嫌だー!許してっレディ!」
「……もう、泣かなくてもいいのに」
笑いながらヒナはカラ松の手を取った。
こんな子供じみたやり取り……なのに、カラ松はすごく嬉しそうにヒナの手を握る。
う、羨ましくなんかないし……
「入ろっ?一松」
カラ松と繋いだ手の反対をスルリと俺の腕に絡ませてくるヒナ。
当たり前のように俺達にぴったり寄り添うこいつをズルいと思う。
それでも俺達はこいつを甘やかせてる。
まるで何も出来ない猫みたいに……
「スコティッシュ、アメショ、セルカー、マンチ♪」
「詳しいな?レディ
何がどれだかさっぱりわからん」
「ノルウェージャンフォレストキャット、ブリティッシュショートヘア、アビシニアン」
「んーっ?!」
俺が合わせて名前を並べると大混乱のクソ松。
「ベンガル、ラグドール、ロシアンブルー……肉球ー♪」
「肉球……いいね……♪」
ヒナと肉球チェックをしていると隣ではカラ松が猫に引っ掻かれている。
安定の嫌われ具合だな?カラ松。
「大丈夫?手洗ったほうがいいよ」
「あ、ああ、ちょっと行ってくる」
「……俺も便所」