第32章 兄二人 逆ハー
<おそ松side>
食べ終わってから俺たちは公園へ向かった。
クソ次男!邪魔すぎんだよっ!
あの自信マンマンなのは、一体どこから出てくるわけ?
松野家の一番は俺様だかんな!?
……まぁ、そんだけヒナを大事に思ってるのは同じなんだけどさ。
「公園はすっかり紅葉だね♪」
サクサクと落ち葉を踏みしめるヒナ。
あー手繋ぎたい!
触りたい、抱きしめたい!
「レディ、落ち葉が頭に乗ってるぞ?」
そっとヒナの髪に触れるカラ松。
わかってる。
こいつだってもっとヒナに触りたいんだ。
俺が触りたいと思ってるのと同じくらい……
「ボートに乗るんだろ?行こうぜ」
三人でボート乗り場へ向かった。
ボートはご都合もよく三人乗りだ。
俺とカラ松は先にボートに乗り、ヒナへ手を伸ばす。
「ヒナ」
「レディ」
俺の手に掴まれよ……ほら……
だけど願いは叶わない。
ヒナは嬉しそうに俺の手もカラ松の手も取る。
だろうよ……
「こっちの景色に鳥居があるんだ。
見に行こう」
「意外とカップルも乗ってんだな?
俺らみたいに三人はないけど」
「三人なら別れたりしないかな?」
「だからそれは恋人同士の話でしょ?」
「ん、そうだね……」
「レディ、寂しそうな顔をするな。
俺もおそ松もどこにも行ってないだろ?」
「……うん」
「ちょっと来いよ」
俺はカラ松に目配せをしたあと、ヒナを自分の上に座らせる。
はぁーやっと触れた。
ギュッと抱きしめると向かいのカラ松がうらめしそうに見る。
ちょっとは我慢しろよ?
「俺達、近くにいっつもいるんだから、不安になんかなるなよ……な?」
「う、うん……」
「レディ!こっちにも!」
カラ松!はえーよっ、くそっ!
我慢できない子かっ!
しぶしぶカラ松へヒナを渡すと、
カラ松は嬉しそうにギュッと抱きしめる。
あーあ、ほんとに仲良くわけられたらいいのにね?
「……やっぱ返して!」
「嫌だっ!誰にもやらん!」
「ちょっ!二人ともっ……あっ!」
「「あっ……!」」
バッシャーン!!