第32章 兄二人 逆ハー
<カラ松side>
三人で競馬場へ向かう。
おそ松めっ!せっかくのレディとのデートがっ!
俺のラブプランが台無しだ!
こいつは遠慮という言葉を知らない。
何がレジェンド長男様だっ!
ちょっと俺より先に産まれただけじゃないか!
まぁおそ松もレディに必死なのはわかるが……
「んー、何番にしようか……」
「やはり2番だろぉ?レディ」
「お前っほんと!そればっかだな!
ヒナに好きな馬選ばせろよ!」
「でも当たったのって最初におそ松くんと競馬きたときだけだよね?
やっぱり運って大事だね」
「そうだなー、あんときは本当にスゴかったよな!
嬉しすぎて初めてのデートなのに抱きしめちゃったし?」
笑いながら鼻をこすってレディの顔を覗きこむおそ松。
デートという言葉をわざと強調しただろ?
レディは少し恥ずかしそうにおそ松に笑顔をみせた。
ぐっ、俺は負けん!
「……で?何番にするんだ?ヒナ」
グイッと後ろから腰を掴み、耳元で囁くと赤くなるヒナ。
フフーン……俺に耳元で名前を呼ばれると弱いのは知っているぞ?
本当は何度でも呼んでやりたいんだが、二人きりのときにな?
「え、えっと……」
「……カラ松、手離せよ」
「フンッ、嫌だと言ったらどうするんだ?」
「あーん?」
「ちょっ、ちょっと!喧嘩しないでよ?!」
まったく!
いい雰囲気が台無しじゃないか!
結果、何レースか挑戦したが、上手いこともいかず、競馬場内の広場でお弁当を食べることになった。
広い芝生に家族連れはいない、恋人たちがチラホラ……競馬場はピクニックには穴場だな。
「卵焼きぃ♪」
「レディ……か、から揚げが……」
「んーとね、これが竜田で、これが甘辛で、こっちが普通の!
あっ、でも全部生姜入りだよ?」
ニコニコとから揚げを俺に見せるヒナ。
嬉しすぎて愛が止まらない……
「何、泣いてんの?カラ松……きもっ!
俺、甘辛ちょーだい!」
横からパクッとから揚げを横取りされる。
「よし、殺してやるぞ!おそまぁーつ!」
「おー?かかってこいよっ」
「もーっご飯くらい楽しく食べようよーっ」