第31章 猫とハタ坊 後編
<チョロ松side>
僕はフラフラになりながら進んだ。
ただもう君の顔を見たい……それだけしか頭になかった。
大きな扉を見つけた。
重い扉をゆっくり開ける……
僕は真っ先にヒナちゃんの姿を見つける。
フワフワの水色のドレスを着て、まるでおとぎの国からやってきた美しいお姫様の君……周りにはプレゼントの山が積み重ねられている。
「何でもあげるジョー!
だからもっと遊んで欲しいジョ!」
「ハ、ハタ坊、そうじゃなくてね?」
「……何やってんだ、ハタ坊……」
「えっ?チョロくん?!」
困った顔をしていたヒナちゃんが、僕を見つけて嬉しそうに駆け寄ってきた。
慣れないドレスに足がもつれたようで、倒れるように抱きついてきた。
っ!ハァーン!超絶いい匂いがする!
今までの疲れがぶっ飛んだ。
しかし、今はそんなことを考えてる場合じゃない。
僕は持っていたアタッシュケースをハタ坊の前に投げつけた。
「金でどうこうしようとするな!
ヒナちゃんは物じゃない!」
「で、でも仲良くしたかったジョ……」
「だったら金じゃなくて、自分でなんとかしろよ!」
まるで自分に言っているような気がした。
僕だって、ヒナちゃんと……
もっと向き合わなきゃいけないって思ったんだ。
ハタ坊は涙をこぼした。
ヒナちゃんは僕から離れて、ハタ坊の頭を撫でる。
「ごめんね、ハタ坊。
私のお家はここじゃないの。また遊ぼうね?」
「ヒナちゃん……」
君は優し過ぎるよ。
そんなとこも僕は好きだけど……
「チョロくん、お家帰ろ!」