第31章 猫とハタ坊 後編
<チョロ松side>
あのあと、みんなも合流した。
ヒナちゃんは着替えたあと、ハタ坊にまたね?と言って僕らと一緒に帰る。
ヒナちゃんが一緒にいる。
もう、これが僕らの日常なのだ。
君はもう僕らの家族なんだから。
その夜、僕は部屋でヒナちゃんに手当てをしてもらっていた。
アタッシュケースを持って走りまわっていたせいで、手に豆ができて全部潰れてしまっていたから。
「チョロくん、手が痛そう……」
「だ、大丈夫だよ!これくらい!」
ヒナちゃんはポロポロ涙を流しながら、僕の手に包帯を巻く。
僕の為に泣いてくれてるヒナちゃん。
泣いてる顔が超絶可愛すぎて、僕にはもうそれだけでもうご褒美なんだけど……
「でも、すごく痛そうだよ?」
そう言ってヒナちゃんは包帯を巻き終わっても僕の手を離さず、傷を包帯の上から撫でている。
僕の傷口はズキズキしたけど、撫でられるとムズムズと変に気持ちよくなってきた。
こっ、これ結構気持ちいいっ!
癖になりそう!
「ぁ……っ」
「ごめっ!痛かった?!」
慌てて手を離すヒナちゃん。
あーっ!違うんだっ!
気持ちよくて声でちゃっただけなんだけどっ!
「い、いやっ大丈夫だよ!
触ってくれてると何だか治りそうっ」
だからっ!もっと触って!
なんて、さすがに言えず、僕はヒナちゃんの涙のあとをそっと拭った。
ヒナちゃんは嬉しそうに目をつぶる。
こ、こここれはっ!?
絶好のチャンスなのではっ?!
爆発しそうな心臓を抑えながら、僕はヒナちゃんに唇を重ねようとした。
「……チョロくん?」
「ぅわっ!……ってえ!」
超至近距離で目を開けちゃったヒナちゃんに驚いて、僕は怪我をしていた手を思い切り床についてしまった。
「大丈夫?!」
「いたた……う、うん。……えっ?」
僕の唇にヒナちゃんは自分の唇を重ねた。
柔らかな唇から吐息を感じる。
「……迎えに来てくれてありがと」
「う、うん……あ、あのさ?
僕からもしてもいい?」
「うん……ん……っ」
ご褒美もう最高っ!
大好きだよー!