第31章 猫とハタ坊 後編
<一松side>
あのあとみんなも合流して、家まで一緒に帰った。ヒナは夜には帰るつもりだったらしく、あっさりハタ坊と別れた。
なんで寝てたかよく覚えてないらしい。
はぁ……大丈夫かよ?
もうこいつ、一人で出掛けるのやめてくんないかな?
俺が心配で胃に穴が開いたら、どう責任とってくれんの……
銭湯の帰り、俺とヒナは少し二人で遠回りをした。
「……寒い……早く帰ろ」
「いいじゃない、たまには!
ほら!寒くなってきて夜空キレイだよ?」
気持ち良さそうに夜の空を見ながら風に当たるヒナ。
でも、自分の手は擦っている。
……馬鹿?
まじ風邪引くっつうの。
俺はプルプルと手を伸ばし、こいつの手を掴んで自分のパーカーに突っ込んだ。
「さっ……寒いんだよ!」
「……うん!」
ヒナはパーカーに突っ込んだ手を俺の手に絡ませてきた。
こ、こここ恋人つなぎぃー!?
「……お、おまえさ……」
「んー?」
「ハタ坊も一応、男だから……もっと警戒心持って……」
「でも遊んでただけだよ?」
「寝てただろーが」
「あー……うん。
ほんとよく覚えてなくて……何で寝てたんだろ?」
「だから!……あー……もういい」
ちょっとめんどくさくなった。
こいつに警戒心持てっつっても、あんまし意味ない気がした。
「一松、怒ってる?」
「……怒ってる」
俺は絡めていた手を引き、ヒナを抱きしめた。
頼むから……俺のそばから離れないでよ……
いなくなったりしないで。
「一松……っん……」
俺はヒナの少し冷たくなった頬に手を触れ、唇を重ねた。
風呂あがりのシャンプーの匂い。
ヒナの髪に触れると少しひんやりしている。
「……俺さ、今日結構頑張ったんだよね……
だから……ご褒美頂戴」
「え?」
「お前いくら言ってもわかんなそうだから……
身体に教え込まないとね……ヒヒ」
俺はヒナの手を引き向かった。
どこへって?躾られるところに行くんだよ。