第31章 猫とハタ坊 後編
<十四松side>
あのあと、兄さんたちもトッティも回収して、みんなで家に帰った。
僕は帰るとき人間に戻ったヒナにちょっと怒られた。
よそのお家に穴を開けたらダメだって。
むぅ!ちぇーっ!
ハタ坊は友達だよ?
でもさ、ヒナは僕らの家族だからね!
絶対あげたりなんかしない。
僕だって必死だったんだから!
それにヒナを抱きしめたとき、ハタ坊の匂いがついてた。
きっと沢山遊んでたんだろうけど……なんかむかつくー!
ハタ坊に抱っこされたの?
くっつかれたの?
あーっもう!なんかイヤだー!
その夜、僕はヒナとコタツに入って二人で話をした。
ヒナは黙々と僕にあげるミカンを剥いてる。
「だってさぁ!
早く行かなきゃって思ったんだもん!
モグモグ……」
「うんうん……はいっあーん♪」
「あーん♪……モグモグ……ねえ?ヒナ聞いてる?」
「うんうん、はいっ……って、きゃあっ!」
僕にミカンをあげるのに夢中になってるから、ヒナの手ごと僕はミカンを食べた。
ついでにベロンと手の平を舐めといた。
「ンフフッ、びっくりした?」
「したよ!もうっ!
私のこと心配してくれるのは嬉しいけど、よそのお家壊したらダメだってば……誰かがそれで怪我したら大変だよ?」
「あい……」
僕が返事をするとヒナは僕の頭を優しく撫でた。
わかってる。
僕は自分の立場をわかってる。
でも……君はわかってない。わかってないよ……
「んーでもね?
十四松が私を見つけたとき、嬉しそうに笑ってくれたから……
私もなんだか嬉しくなったよ」
エヘヘと恥ずかしそうに笑うヒナ。
僕の胸がキューンと鳴った。
可愛いヒナ。
こんなとこが大好きだっ!
「……ねぇ?もっとご褒美ちょうだい?」
「え?みかん?待ってて!」
「違うよ?こーゆうご褒美……」
僕はヒナにキスをした。
もっと、もっと……足らない。
「じゅ、十四松……っ、ん……っ」
「足らないよ?
ハタ坊の匂い消えるまで……僕、やめないから」