第31章 猫とハタ坊 後編
<カラ松side>
あのあと、ブラザー達もハタ坊の指示で助けられ合流した。
ヒナは夜には帰るつもりだったようだ。
では、あのアタッシュケースと手紙は一体、何だったのか?
ハタ坊にはジョー?とかなんとか言って流された。
ハタ坊はたまによくわからん。
たまに……?
俺達はみんなで家に帰った。
その日の夜。
俺はヒナと屋根上で夜空を見ながら二人で話をしていた。
「えー?地下にドラゴン?」
「そうだ!
俺はドラゴンの吐く炎を華麗に避け!
落ちていた剣を拾い、ドラゴンを切りかかった!」
結局、そのあと剣も刺さらないし、死にそうになったので、地下から必死によじ登って上へ逃げたんだがな……
「えー?なんか夢でも見てたんじゃない?」
クスクスと笑いながら俺の壮絶な冒険ストーリーを聞くヒナ。
今日一日がとても長かったせいか、その笑顔だけで俺は気持ちが安らいだ。
本当に今日は散々だった。
地下から上がったあとも階段から滑り落ちるし、上から巨大な鉄球が落ちてくるし、串刺しになりかけるし、旗は尻に刺さるし……
そう思い返しているとヒナの手が俺の頬に触れる。
「ここもちょっと火傷してる……あとで薬塗ろうね?」
少し心配そうな顔をして笑顔を見せるヒナ。
俺は君のためならどんな困難だって乗り越えてみせるさ。
「レディ……その、俺に一番に着いたご褒美をもらえないか?」
「ご褒美……?」
うーん、と考えながら、ちょっと頬を染めるヒナ。
イッツベリーキュート……
「じゃあ、目を閉じてね?」
「あ、ああっ」
おねだりしといて結構緊張してきたぞっ!
俺は目をつぶってドキドキしながら待った。
「助けに来てくれてありがと……勇者様っ」
チュッと火傷した頬にヒナの唇が触れる。
「うおおおおっ!!プリンセースッ!!」
俺は興奮して服を破き、そのまま屋根から落ちた。
……フッ、愛とは本当に素晴らしいな……