第30章 猫とハタ坊 前編
<十四松side>
何でこうなったのかな……?
正面から入れなかった僕たちは薄暗い侵入者入口へ入ってみる。
ただ真っ直ぐ……薄暗い通路を僕たちは進む。
「……ね、ねぇ?
やっぱり正面で待ってない?」
あまりの暗さにトッティは怖くなってきちゃったみたいで、僕の服の裾を掴んでついてきている。
「でも、あのままだったら戦争起こりそうだったしね」
そう言うチョロ松兄さんもめっちゃ怒ってて僕はちょっとびっくりしたけど……
チョロ松兄さんもヒナが大切なんだね……
ところどころにある小さな明かりを頼りに僕達は先へ進む。
6人もゾロゾロと歩ける道幅もなくて、僕達は一列に並んで歩いた。
んーヒナの匂いはまだまだ遠いなぁ……
「なんか雰囲気あるね……ヒヒッ」
喜ぶ一松兄さん。
「ダンジョン!ダンジョン!」
「そうだな……
さしずめ俺達は姫を助けにいく勇者。
そして、選ばれし勇者は姫と……ドウァッ!!!」
「ん、どうしたー?カラ松」
僕達は一列に並んでいたので後ろにいるカラ松兄さんがどうなったかわからない。
「……クソ松、俺の後ろにいたと思ったんだけど……消えた」
「えーまじでー?
ハハッヤバイな、さすが侵入者用」
消えたと聞いても特に心配もしないおそ松兄さん。
んーカラ松兄さんの匂いが下からする気がした。
ここ、地下なんてあったかなぁ?
「……ギャー!!!」
遠くのほうからカラ松兄さんの叫ぶ声が聞こえた。
「「……」」
僕らは無言でクルリと後ろを向き、入口へ戻ろうとした。
ダンッ!!!
凄い音がして、一松兄さんが止まる。
「い、入口塞がれた……」