【イケメン戦国】Love is not needed.
第2章 その1
「間者って、敵って意味ですよね?
私は敵でも味方でもないですよ。
証明できるものは何もありませんけど…。
納得できないなら、どうぞ斬ってください。」
予想だにしなかった言葉だったのか、武将達は目を見開いて驚いていた。
しばらくの沈黙の後、光秀だけが口元を手で覆い俯き、肩を揺らし始めた。
どうやらツボに入ったようだ。
「...あんた、死にたいの?」
信じられない、といった様子で驚いた表情のままの家康が、ぽつりとななしに問いかける。
「死にたい訳ではないけど、死んでもいいんです。」
またも絶句している武将達に構わず彼女は喋り続ける。
「今日会ったばかりの人のお願いを簡単に叶えてあげるような出来た人間じゃないんです、私。信長さんの為に私にここにいろと言うのなら、私のお願いも聞いてくださいよ。交換条件ってやつです。それが駄目なら、あなた方の要求もききません。言うこと聞かないと殺すぞーって脅されたって、効かないですよ。」
私、死んでもいいんで。
ななしはもう一度そう言って、台詞を締めくくった。
(何を言ってるんだこの女は。)
武将6人の顔にはそうありありと書いてあった。
彼らの理解の範疇を軽く超えたようだ。
5、6秒の沈黙のあとやっと口を開いたのは信長だった。
「貴様の条件とやらは、我らの夜伽の相手として働くことと、その動機の理由を問うべからず、ということと解釈したが、それで良いか。」
「信長様!まさかこの女の要求を呑むおつもりで?!」
手応えを感じたななしは、
青ざめ、信長を止めようとする秀吉には気にもとめず、満面の笑みで頷いた。
「そうですっ!」