【イケメン戦国】Love is not needed.
第2章 その1
信長はしばらくは考え込み、
やがてニヤリと笑った。
「よかろう、貴様の要望、聞いてやる。」
「信長様……!」
「やったー!じゃあここにいます!」
万歳!と両手をあげながら、
ななしはちらりと秀吉の様子を見た。
先程までのガミガミと煩かったのはどこへやら、今は額に手を当て、天を仰ぐような態勢で苦虫を噛み潰したような顔だ。
「ただし、この俺以外との夜伽の世話は貴様が己でやれよ。」
万歳の体勢のまま首をかしげる。
それが間抜けに見えたので、信長は鼻で笑った。
その態度に少しむっとしたななしだったが、
思考回路はすぐに信長の言った言葉を理解することに専念した。
「信長様との夜伽は信長様直々に命が下されるが、それ以外…例えば、この俺と夜伽をする場合はお前が直接俺のところへきて申し合わせをするか、もしくは俺からお前へ申し出るか、という形になるということだ。」
諦めきった秀吉は
まぁ、俺と貴様が夜伽なんで絶対にあり得ないがな、とでもいうような冷たい視線を向けながら、しかし丁寧にななしに説明した。
「…誰にも夜伽の相手してもらえなかったら、どうすれば。」
ななしの顔から笑みが消え、
困ったような、不機嫌なような表情に変わった。
そんな彼女に信長は冷たく言い放つ。
「そこまでは知らん。貴様が女として己を磨けば良いだけの話だ。」
「うーん……わかりました。頑張りマス…。」
「こんな珍妙な要求が通るだけでも奇跡みたいなもんだがな。」
「まぁ、我々に相手をして貰えなかったら、下級の者や城下に出て商人やらを誘惑したらどうだ。」
始終ニヤニヤしていた政宗と光秀が口を挟む。
「……なんか、上手く言いくるめられたような気がしないでもないですが…。そうですね、そうします。」
複雑な表情のまま、渋々条件を受け入れるななし。
それを見た信長が、ここでやっと彼女の名前をまだ聞いてないことに気づく。
「まだ名を聞いておらんかったな。
貴様、名乗れ。」
「...ななしです。宜しくお願いします!」
もう一度、にっこり微笑む。
「…こんな女、ごめんだ。」
家康の小さな呟きと始終頭に?を浮かべていた三成をよそに、この話は終わった。