【イケメン戦国】Love is not needed.
第2章 その1
「貴様、今なんと言った」
茶髪たれ目の色男、
豊臣秀吉が怒りを露にしながらななしに言った。
「え?いや、だから、みなさんと夜の営みを...」
「馬鹿じゃないの。頭おかしい。」
ななしが言い終えないうちに噛みつくように言いはなった可愛らしい顔立ちの青年は徳川家康。
「あぶねー女。」
「とんだ大うつけだな。」
不適な笑みを浮かべて探るようにまじまじとななしを観察している男前が伊達政宗。
その横で厭らしい笑みを浮かべるミステリアスな雰囲気の美形が明智光秀。
そしてもう1人、
ただただぽかんとして、この状況を理解できてなさそうな美男子、石田三成。
この場には織田信長を含め6人の武将達がいた。
信長も、目の覚めるような美貌の持ち主だ。
ななしはそんな武将達を1人1人確認するように見て、満足気に微笑んだ。
「みなさんのようなイケメンのお相手が出来るなんてとっても嬉しいです。」
「いけめん...?」
「信長様!こんな得体の知れぬ女、お側に置いてはなりません。斬り捨てましょう。」
聞きなれない言葉に首をかしげる三成をよそに、持ち前のたれ目をできる限り吊り上げて秀吉は信長に勧告した。
それを聞き流して信長はななしに問う。
「貴様、何が狙いだ。」
「やだなぁ。狙い、なんて大それたもんじゃないですよ。ただ、できるだけ多くの男性と体を重ねたいんです。」
ななしは愛想よく微笑えんで答えた。
とても愛らしい微笑みだったが、
信長は怪訝そうに片眉を上げた。
「それでは理由になっておらん。なぜそのような愚劣な振る舞いをするのか聞いている。」
「えへ、言いたくないです。」
「貴様っ、先程から無礼が過ぎるぞ!」
「待て、秀吉」
今にも斬りかかろうとする秀吉を制して、信長は続ける。
「言えぬということは、我々に知られてはまずいことがある、ということか。貴様、間者か?」
信長の瞳が更に狐疑深いものに変わり、
声色にも厳しさが増した。
普通の人間ならば、こんな鋭い視線を向けられたらひとたまりもないのだろうが、ななしは笑顔を崩さない。