【イケメン戦国】Love is not needed.
第4章 その3
うむ、と秀吉は暫く考え込み、そしてななしに向き合った。
「信長様へ話を持っていこう。丁度今宵の夕餉にお前を呼ぶよう言われているから、その際に話してみるといい。」
「…それは、ありがたいけど、なんで私呼ばれてんの?」
「俺も詳しいことは知らされていない。時期にわかることだ。」
「何かお仕事を頂けるといいですね。」
「…うん。」
どこか落ち着かない心持ちのまま、ななしは夕餉を待つことにした。
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「全員揃ったな。」
信長の言葉を合図に、夕餉が始まる。
ななしにとっては、武将達と食事を共にするのはこれが初めてだった。
目の前に置かれた御膳には、色鮮やかで美しい料理が並べられている。
先程までの不安はどこへやら、ななしはすぐには手を付けず、目を輝かせながら暫く料理を眺めていた。
「きれい。すごい。やばい。」
正直、戦国時代ではろくな食事が出来ないと思っていたななし。
これはうれしい誤算である。
「食わねぇのか?どれも自信作だぞ。」
「えっ?!政宗さんが作ったの?!」
驚きのあまり中腰になるななしを見て、秀吉と家康が眉をひそめる。
前者はななしの行儀の悪さに、
後者は喧しい、という意味を込めて。
それに気づかず、政宗はどや顔で胸を張る。
「まぁな。いいから食ってみろ。」
握りしめていた箸を丁寧に持ち直し、一番手前の煮物を恐る恐る口へ運ぶ。
瞬間、しっかりとした、且つ上品な味付けにななしは声もなく感動した。
食感も、固過ぎず柔らか過ぎず、絶妙だ。
「政宗さん…」
「おう」
「あんた天才や…」
「そうだろっ」
ニカッと白い歯を見せ笑う政宗。
ご満悦である。
嬉々として箸を進めていたななしだったが、ふと光秀を見ると、信じられない光景にその箸が止まった。
「え…光秀さん何してんすか…」
「見てわからないのか?混ぜているのだ。」
「いやそれはわかるわ。なんで混ぜてんの?!」
信じられないっ!
ななしは再び中腰になり、御膳から身を乗り出すような姿勢になった。
そこに、うんざりした様子で政宗が声を掛ける。
「ななし、家康のも見てみろ。」