【イケメン戦国】Love is not needed.
第4章 その3
「城下…?まぁ、お前もずっとここに隠りっぱなしじゃあ窮屈か。ちょっと待ってろ、地図を描いてやる。」
「よかったですね、ななし様。いってらっしゃいませ。」
家康と別れたあと、ななしはさっそく秀吉に掛け合った。
そこには三成も居た。
城下散策の許可があっさりとおり、ななしは秀吉に貰った地図を片手に城下へと出掛けた。
それを見届けたあと、秀吉の声が低く響く。
「三成。」
「はい。」
「あいつに見張りを付けろ」
「承知致しました。」
*********
「わぁ、すご。」
家康が言ってたとおり、城下は座商や露天商、お茶処と、たくさんの素町人で賑わっていた。
「テレビでしか見れなかった光景だなぁ。」
現代から来たななしにとって、城下にあるものは珍しいものばかりだった。
現代で見たことあるような物でも、よく見るとやはり仕様や素材等が戦国時代独特の物で、現在とは違っていた。
そしてふと、ある街商の前で足をとめた。
蓙がしかれており、その上に髪飾りや扇子など、女子が好みそうな小物類が並べられているだけの簡素な店だったが、その品物が他とは少しばかり違っていて、美しくセンスの良い品ばかりだった。
(綺麗…)
ななしもこういう物に興味が無いわけではない。
むしろ、好きだった。
思わず蓙の前にしゃがみこみ、眺めてしまった。
「らっしゃい。」
凜とした声にハッとして、商人を見上げた。
若く、凛凛しい顔つきの青年だ。
なんとなく、この青年にこの品物たちは、不釣り合いに見えた。
(…イケメン…でも、どっかで見たような…)
「あれ、お前…」
相手もななしを見て何か思ったのか、じっとななしの顔を見つめはじめる。
「あっ」
二人同時に思い出したようだ。
声が揃った。
「森の中で助けてくれた人だ!」
「お前あの時突っ込んできた女か!」
本能寺の件の夜、信長の元から一旦逃げ出したななしは、顕如の他にあと四人の男のグループに会っていた。
その四人の男の内の1人が今目の前にいる彼であり、森の中で盛大に転げ落ちたななしを受け止めてくれた男だった。