【イケメン戦国】Love is not needed.
第3章 その2
「ななし、貴様もこの軍議を聞いておれ」
「…は?」
思わぬ発言に、今度はななしが目を丸くする。
すかさず、秀吉が再び勧告した。
「なりません信長様。この女には関係のないことです。」
「こやつは本能寺に居合わせた。無関係とは言えまい。」
「確かに信長様の仰るとおりですな。」
またまた信長側についた光秀を、秀吉は一瞥した。
お前は余計なことを言うな。という意味を込めて。
もとより、この二人は相性があまりよくないのだ。
当のななしは信長へ向き直り、頬をぽりぽりと掻きながらどうでも良さそうに言った。
「聞くだけならできますけど、多分私、貴殿方が言ってること少しも理解できませんよ。それに、大事な話し合いなんでしょ?もし私が敵だったらって考えたら、ここに居ない方がいいんじゃないの?」
「初めて割りとまともなこと言った。」
「ありがとう家康さん」
「断じて誉めてない。ほんとなんなのあんた。」
ななしが「ツンデレ最高」と返すも、もう話したくないのか、または聞き慣れない言葉で意味がわからなかったのか、もしくはその両方か。
家康は無視を決め込んだ。
「これまでの貴様の言動を顧みると、貴様が先程自ら申した通り、我らの軍議の趣旨が理解出来るとは到底思えん。」
「他人から言われると腹立つな。」
「加えて、俺は貴様が敵だと思っておらん。よって問題は無い。」
「………はぁ、まぁ私はいいですよ。聞くだけだし。」
ちらりと、ななしは諦めて大人しくなっている秀吉を不憫そうに見る。
あんなに信長のことを想って注意しているのに、ほとんど聞き入れて貰えていない。なんて可哀想なんだろうか、と。
これまでの流れに限れば、ほぼほぼななしが原因なのだが。
改て、ななしが座り直し、再び軍議は始まった。