【イケメン戦国】Love is not needed.
第3章 その2
「着物?着替えなきゃいけないの?」
「...あの、ななし様は、風変わりなお着物をお召しになっていらっしゃいますので、とても目立っておられます。ですので、着替えて頂いた方が良いかと。」
ななしは改めて自分の服装を確認してみた。
Yシャツにカーディガン、タイトスカートにストッキング。
確かにこの時代では奇妙な格好だ。
ふと視線を感じ三成をみると、彼もまた、まじまじとななしの服装を眺めていた。
(珍しい服だから興味あんのかな。)
ななしの予想通り、
知識欲の高い三成にとってななしの奇妙な着物は探求心を刺激するには充分だったらしい。
自分の着ている衣服を熱い眼差しで見つめられ、なんだか居心地が悪くなったななしはそんな熱視線を無視しつつ、三成へ話しかける。
「わかったよ。用意してくれた着物、着るね。」
そう声をかけると、三成ははっとしたように視線をななしへ向け直した。
「ありがとうございます。では、私はこれで。」
「うん、またね。」
そうして、ななしは一人部屋に残された。
「さて、とりあえず着替えるかぁ」
籠に入ってる明らかに高そうな着物を広げる。
うぐいす色の生地に赤や白、黄色の大きな花があしらってある、上品な着物だった。
「こんな重いの着るの?やだなぁ」
年頃の娘なら誰もがため息をついてしまうほど美しい着物だが、ななしには響かないようだ。
だがしかし、現代の服装で過ごすわけにもいかず、彼女は渋々着替えを始めた。
とりあえず服を脱ぎ、気が進まないまま袖を通そうとして、はたと気づく。
(そういえば私、着付けなんてしたことない)
「どうやって着るねんこれ。」
一気にやる気がなくなったななしは、着ようとしていた着物を無造作に放る。
ちらりと視線をやると、
籠にはまだ、どうやって使うかわからない紐や帯、白くて薄い肌着のような物も入っている。
「あー...もうっ、ほんとに着る気なくしたぁ.....」
下着姿のまま、畳に寝転がる。
畳のいい香りが鼻を擽り、
少し苛立ちが落ち着いた。