第1章 1
結局、打ち上げは延期になった。
翌日にyasuとyouのソロの取材が入っていたことを、マネージャーの西條がサラリと言ったんや。
「んじゃあ、恵梨がしっかり自信を持って車を運転出来るようになったら、打ち上げや」
ka-yuの言葉にメンバーは全員、意義なし、と口を揃えて頷いた。
そしてそのまま解散。
────それが、昨日の話。
で、今、俺は、寝間着姿のまま玄関に突っ立っている恵梨に、車の助手席から片手を挙げて挨拶をしている訳で。
恵梨は口をあんぐりと開けて呆然としている。
その髪の毛には寝癖。
「・・・shujiさん、何やってるんですか?」
「ん、おはようさん、恵梨」
「おはようございます。で、何をやってるんですか?」
「ん?これからドライブに行くんや」
「・・・・・・・・・は?」
恵梨は小さく首を傾げて、俺を見ている。
俺はにっこりと笑った。
「だから、はよ準備してきいや」